なぜ抗うつ薬はすぐに効果が出ない?そのメカニズムをわかりやすく解説!
「うつ病と診断されて抗うつ薬を処方されたけど、なかなか効果が出ない…」
そんな悩みを抱えていませんか?
抗うつ薬は、高血圧の薬のようにすぐに効果が出るものではなく、効果が出るまでに2週間から4週間ほどかかるのが一般的です。
では、なぜ抗うつ薬はすぐに効果が出ないのでしょうか?
今回の記事では、抗うつ薬の効果が出るまでのメカニズムについて、図を用いながらわかりやすく解説していきます。
抗うつ薬はどんな時に処方される?
抗うつ薬は、その名の通りうつ病の治療薬として用いられますが、うつ病以外にも様々な疾患に効果を発揮します。
例えるなら、和食でいう醤油や味噌、フランス料理でいうバターのように、様々な料理のベースとなる調味料のような存在と言えるでしょう。
具体的には、以下のような症状に効果が期待できます。
このように、抗うつ薬は精神科領域で幅広く処方されている薬なのです。
抗うつ薬の効果が出るメカニズム
私たちの脳内には、神経細胞と呼ばれる神経細胞同士の情報伝達を担う細胞が無数に存在します。
神経細胞は、神経伝達物質と呼ばれる化学物質を放出することで、他の神経細胞に情報を伝えています。
うつ病の人は、この神経伝達物質の一つであるセロトニンが不足していると考えられています。
抗うつ薬は、このセロトニンの働きを調整することで、うつ病の症状を改善すると考えられています。
具体的には、抗うつ薬はセロトニンの再取り込みを阻害することで、神経細胞間のセロトニンの量を増やす働きをします。
しかし、セロトニンの量が増えてもすぐに効果が現れるわけではありません。
なぜ抗うつ薬はすぐに効果が出ないのか?
抗うつ薬を服用すると、すぐにセロトニンの量は増加しますが、効果が現れるのは服用開始から1週間後、症状が改善するのは4週間後と言われています。
服用初期には、吐き気や倦怠感などの副作用が現れることもあります。
これは、セロトニンの量が増加したことにより、神経細胞が過剰に興奮してしまうためと考えられています。
例えるなら、薄味に慣れた舌に、急に濃い味のラーメンを食べさせると、味が濃すぎて気持ち悪くなってしまうのと同じような状態です。
しかし、しばらくすると濃い味にも慣れて、美味しく感じられるようになります。
このように、神経細胞もセロトニンの増加に徐々に慣れていくことで、副作用が軽減し、効果が現れてくるのです。
抗うつ薬の効果発現には遺伝子も関係している?
最近の研究では、抗うつ薬の効果発現には、遺伝子の発現が関係していることもわかってきました。
抗うつ薬を服用し続けることで、今まで眠っていた遺伝子が活性化され、神経細胞の成長や神経伝達の効率を高める効果があると考えられています。
この遺伝子の活性化には時間がかかるため、抗うつ薬の効果が出るまでに時間がかかる一因となっていると考えられています。
まとめ|抗うつ薬の効果を最大限に得るために
今回は、抗うつ薬の効果が出るまでのメカニズムについて解説しました。
抗うつ薬は、すぐに効果が出るわけではありませんが、服用を続けることで効果が期待できます。
副作用がつらい場合は、自己判断で服用を中止せず、医師に相談するようにしましょう。
また、抗うつ薬の効果を最大限に得るためには、規則正しい生活習慣を送り、ストレスを溜めないようにすることも大切です。