中高年になってから急に「妄想」が始まる?その意外な原因と症状、治療法について解説
「まさか、うちの人が統合失調症…?!」
ある日突然、パートナーや親の変化に気づき、不安を抱えている方はいませんか? 中高年になってから、それまで見られなかった妄想のような言動が始まり、戸惑うケースは少なくありません。
統合失調症は10代~20代での発症が多い病気として知られていますが、中高年になってから発症する「遅発性統合失調症」や「遅発パラフレニー」と呼ばれる病気も存在します。
今回は、中高年になってから現れる妄想の特徴や原因、治療法について詳しく解説していきます。
中高年期にみられる妄想の特徴
中高年期にみられる妄想は、10代~20代に多い統合失調症の妄想とは異なる特徴があります。
1. 現実味を帯びた妄想が多い
10代~20代の統合失調症でみられる妄想は、「誰かに監視されている」「盗聴されている」など、非現実的な内容が多い傾向にあります。
一方、中高年期にみられる妄想は、「近所の人に悪口を言われている」「ゴミ捨て場でゴミを漁られている」など、一見すると現実味を帯びている場合が多く見られます。
そのため、周囲の人も「本当に近所トラブルの可能性もあるのでは?」と判断に迷ってしまうケースも少なくありません。
2. 妄想の内容が体系化されていない
統合失調症の妄想は、複雑に体系化されていることが多い一方、中高年期にみられる妄想は、断片的で体系化されていないケースが多いのも特徴です。
3. 急性期と回復期がはっきりしない
統合失調症の場合、妄想などの症状が強く出る急性期と、症状が落ち着く回復期が比較的はっきりと分かれています。
しかし、中高年期にみられる妄想は、急性期と回復期の境目が曖昧で、いつの間にか始まっていつの間にか終わっているというケースも少なくありません。
中高年期に妄想が起こる原因
中高年期に妄想が起こる原因は、まだはっきりと解明されていません。
しかし、以下のような要因が関係していると考えられています。
- 加齢による脳機能の低下
- ストレス
- 社会的孤立
- 身体疾患
- 遺伝的要因
- 感覚機能の低下(特に難聴)
特に、社会的孤立や難聴は、中高年期の妄想の発症リスクを高めると言われています。
周囲との交流が減ったり、耳が聞こえづらくなることで、不安や孤立感が強まり、妄想に繋がってしまう可能性があります。
中高年期の妄想への対処法
中高年期にみられる妄想は、早期発見・早期治療が大切です。
「もしかして…」と感じたら、早めに専門医を受診しましょう。
1. 精神科を受診する
妄想症状が見られる場合、まずは精神科を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
自己判断で放置してしまうと、症状が悪化したり、周囲とのトラブルに発展する可能性もあります。
2. 薬物療法
中高年期の妄想に対しては、抗精神病薬などによる薬物療法が行われます。
症状や状態に合わせて、医師が適切な薬を処方します。
3. 環境調整
妄想の症状を和らげるためには、周囲の環境調整も重要です。
例えば、患者さんが安心できるような環境を整えたり、ストレスを軽減するためのサポートを行うことが大切です。
4. 家族のサポート
家族のサポートも、中高年期の妄想の改善に大きく役立ちます。
患者さんの話をじっくりと聞き、共感する姿勢を示すことが大切です。
ただし、妄想の内容を頭ごなしに否定したり、無理に納得させようとすると、反発されてしまう可能性があるので注意が必要です。
まとめ
中高年期にみられる妄想は、早期発見・早期治療によって症状を改善できる可能性があります。
「もしかして…」と感じたら、一人で抱え込まず、早めに専門医に相談するようにしましょう。
また、家族や周囲の人は、患者さんの気持ちを理解し、支えていくことが大切です。