自閉スペクトラム症(ASD)とは?特徴や診断、生きづらさについて解説
「アスペルガー」という言葉を耳にする機会は減ったと思いませんか? 実は、2013年頃から「自閉スペクトラム症(ASD)」という名称に統一されつつあります。
この記事では、ASDの診断基準や特徴、そして社会生活での生きづらさについて詳しく解説していきます。
自閉スペクトラム症(ASD)とは?
自閉スペクトラム症(ASD)は、以前は「広汎性発達障害」や「アスペルガー症候群」と呼ばれていました。1943年にアスペルガーという医師が、知的障害を伴わないものの対人関係やコミュニケーションに困難を抱える子どもたちについて報告したのが始まりです。
2013年以降は、これらの症状を持つ人を包括的に理解するため、ASDとして統一されるようになりました。
ASDは「スペクトラム」
「スペクトラム」とは、連続体という意味です。ASDは、症状の現れ方や程度が人によって大きく異なり、その状態は連続的に分布しています。
例えば、虹を思い浮かべてみてください。虹は赤、橙、黄、緑、青、藍、紫と色がグラデーションのように変化していますよね。ASDも同様に、症状の強弱や特性の組み合わせが人それぞれ異なるのです。
ASDと診断される基準
ASDの診断は、大きく分けて以下の2つの特徴に基づいて行われます。
- 社会的コミュニケーションと相互作用の障害
- 限定された反復的な行動、興味または活動
具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
1. 社会的コミュニケーションと相互作用の障害
- 相手の気持ちや場の空気が読めない
- 相槌や共感が苦手
- 会話がかみ合わない
- 目線が合わなかったり、表情が乏しかったりする
- 皮肉や冗談が通じにくい
- 友達を作るのが苦手
2. 限定された反復的な行動、興味または活動
- 特定の行動や手順にこだわる
- 同じものを繰り返し集める
- 変化を嫌う
- 特定の分野への強いこだわりがある
- 感覚過敏(特定の音や光、触覚に過剰に反応する)
ASDは「個性」?それとも「障害」?
ASDは、あくまでも「障害」ではなく「特性」であるという意見もあります。しかし、ASDの特性によって日常生活や社会生活に困難が生じている場合は、「障害」と捉えることもできます。
重要なのは、ASDに対する理解を深め、それぞれの特性に合わせた適切なサポートや配慮を行うことです。
なぜASDの人は生きづらさを感じやすいのか?
現代社会は、変化が激しく、複雑なコミュニケーションが求められる場面が増えています。そのため、ASDの特性を持つ人にとって、生きづらさを感じやすい状況と言えるでしょう。
例えば、以下のような点が挙げられます。
- 変化への対応が難しい: 急な予定変更や新しい環境への適応に困難を感じることがあります。
- 暗黙のルールが理解しにくい: 社会には、明文化されていないルールやマナーが多く存在します。ASDの人は、これらのルールを理解することが難しく、誤解を生んでしまうことがあります。
- 感覚過敏の影響: 音や光、触覚などに対する感覚過敏によって、集中力が途切れたり、疲労感が強くなったりすることがあります。
ASDとADHDの違いは?
ASDと併発することが多い発達障害に、ADHD(注意欠如・多動症)があります。
ASDとADHDは、どちらも発達障害の一種ですが、それぞれ異なる特性を持っています。
ASDとADHDは併発することが多く、どちらか一方の診断のみを受けることは稀です。
ASDへの理解を深めよう
ASDは、決して特別なものではありません。私たちの周りにも、ASDの特性を持つ人は多く存在します。
ASDに対する正しい知識と理解を深めることで、彼らが生きやすい社会を作っていくことが大切です。
もし、この記事を読んで、ご自身や周りの方がASDかもしれないと感じたら、専門医に相談することをおすすめします。