SNS時代にメンタルヘルスを守るために必要なこと

picture

SNS時代にメンタルヘルスを守るために必要なこと

現代社会において、SNSは切っても切り離せない存在となっています。しかし、その影響力の大きさから、メンタルヘルスへの影響も懸念されています。

今回は、精神科医の立場から、SNSメンタルヘルスの関係性について解説するとともに、SNS時代にメンタルヘルスを守るために必要なリテラシーについて考えていきます。

SNSの正体:広告収入とアルゴリズム

TwitterFacebookInstagramTikTokYouTubeなど、様々なSNSが存在しますが、これらの根底にある共通点は「広告収入」です。

SNSは、ユーザーに無料でサービスを提供する代わりに、広告を表示することで収益を得ています。そして、より多くの広告収入を得るために、ユーザーをSNSに依存させるようなアルゴリズムが日々研究、開発されています。

例えば、YouTubeであれば、毎日更新される登録者数や再生回数、高評価数などのフィードバックが、投稿者を無意識のうちに「より多くの再生回数を得るため」「より多くの登録者数を獲得するため」といった行動に駆り立てます。

また、関連動画として、視聴者の興味を引きそうな動画を次々と表示することで、ユーザーの滞在時間を増加させる仕組みも、アルゴリズムの一環です。

このように、SNSは一見、ユーザーが自由に情報発信や交流を楽しめる場に見えますが、実際には、企業の利益のために設計されたシステムの中で、私たちは知らず知らずのうちに踊らされている側面があるのです。

SNSの光と影:影響力の大きさとメンタルヘルスへの影響

SNSの影響力は、今や政治や経済、社会全体にまで及んでいます。トランプ元大統領がSNSを駆使して大統領選に勝利したことは記憶に新しいでしょう。

従来のメディア(テレビ、新聞など)の影響力が低下する一方で、SNSの影響力は増大しており、私たちの価値観や行動に大きな影響を与えています。

一方で、SNSメンタルヘルスに悪影響を与える可能性も指摘されています。

特に、誹謗中傷やプライバシー侵害、情報過多によるストレスなど、様々な問題が顕在化しています。

SNSと上手に付き合うために:必要な3つのリテラシー

SNSとうまく付き合い、その恩恵を受けながら、メンタルヘルスを守るためには、どのようなリテラシーを身につけるべきでしょうか?

ここでは、特に重要な3つのリテラシーについて解説します。

1. 虚実を見抜くリテラシー

インターネット上には、真実と虚偽が入り混じっています。

SNSでは、誰でも簡単に情報発信ができる一方で、その情報の真偽を確かめることは容易ではありません。

悪意のある情報やフェイクニュースに惑わされないためには、情報源の信頼性を確認したり、複数の情報を比較検討したりするなど、批判的な思考を持つことが重要です。

特に、感情的な情報やセンセーショナルな情報に接したときは、一度冷静になり、本当に正しい情報なのか、自分の頭で考えるようにしましょう。

2. 悪意から身を守るリテラシー

SNS上には、残念ながら悪意を持ったユーザーも存在します。

誹謗中傷やプライバシー侵害など、悪意のある行為から身を守るためには、個人情報の取り扱いには十分注意し、不用意な発言や不用意な情報発信は控えるようにしましょう。

また、自分が発信する情報が、誰かを傷つけたり、不快な思いをさせたりする可能性がないか、常に意識することが大切です。

誹謗中傷などの被害に遭った場合は、一人で抱え込まず、家族や友人に相談したり、専門機関に助けを求めたりすることも有効です。

3. 能動的な行動を選択するリテラシー

SNSを利用していると、一見、自分が能動的に行動しているように感じますが、実際には、アルゴリズムによって行動を誘導されているケースも少なくありません。

例えば、「おすすめ」や「トレンド」といった機能は、ユーザーの興味関心を分析し、自動的に情報を表示する仕組みであり、ユーザーは知らず知らずのうちに、情報に流されている可能性があります。

情報に流されるのではなく、自分の意志で情報を選択し、行動するためには、SNSの利用時間を意識的に制限したり、情報収集の目的を明確化したりするなど、主体的にSNSと関わるように心がけましょう。

まとめ:SNSとの健全な関係を築くために

SNSは、使い方次第で、私たちの生活を豊かにしてくれる便利なツールです。

しかし、その一方で、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性も孕んでいることを忘れてはなりません。

SNSと健全な関係を築き、その恩恵を最大限に享受するためには、今回紹介した3つのリテラシーを意識することが重要です。

SNSと上手に付き合い、心身ともに健康な毎日を送りましょう。